筆者、より安定的に不労所得を積み上げる観点から、インデックス投資より高配当株投資を選好しています。
そして高配当株は、高配当であれば何でもよいという訳ではないと考えています。
代表的な注意点として配当利回りの罠が存在するからです。
今回は、配当利回りの罠とは何かと、その対策を見ていきます。
筆者がインデックス投資より高配当株投資を選好する理由はこちら。
配当利回りの罠とは?
配当利回りの罠とは何か、の前に「配当利回り」について整理します。
配当利回りとは、株価に対する年間配当金の割合を示す指標です。以下の式で求められます。
配当利回り(%)=(年間配当金/株価)×100
よって、配当利回りが高いということは、①配当金が多いか、②株価が低いことを意味します。
ここで注意すべきは、配当利回りは、株価が低い場合にも高くなるということです。
つまり、たくさん配当が貰えそうという理由で配当利回りばかり追うと外れを引く恐れがあります。
配当金が増えているというより、株価が下がっているという要因で配当利回りが高い可能性もあるからです。
これが、配当利回りの罠です。
このような見かけ上の高配当株を買うと、多くの場合、その会社の業績は低迷して利益が減少し、配当を払えなくなって減配、あるいは無配に陥ります。
すると目論見通りの配当金は得られない上、株価も低迷する可能性が高いでしょう。
では、どうすれば配当利回りの罠を回避できるでしょうか?
高配当株で注視すべき指標
配当利回りの罠を回避する上で、重視すべきは配当の持続性です。
配当の持続性を評価する上で代表的な3つの指標を紹介します。
①営業CFの推移
営業CF(営業キャッシュフロー)とは、企業が本来の営業活動から得られた金額を明らかにしたものです。
簡単に言えば、本業でどれだけ儲かったか、企業の稼ぐ力を表します。
この本業の稼ぎこそが、株主に支払う配当の原資となることは言うまでもありません。
ということは、配当の持続性を見るには、元をたどり、稼ぐ力の持続性を見ればいい事になります。
つまり営業CFの推移です。
この営業CFは、額そのものというより、直近数年の推移を見ることが重要と考えます。
直近数年で安定して増加傾向、少なくとも現状維持傾向であれば、現在の配当水準は維持できる余力があると推定できるからです。
逆に減少傾向であれば、配当の原資が尽きていく可能性を示唆します。
②配当性向
営業CFの推移だけでは、現在の配当水準の絶対的な立ち位置が見えづらいです。
そのため、配当性向も見ることが好ましいと考えます。
配当性向とは、当期純利益のうち配当金としてどのくらい支払われているかを百分率で表したものです。
簡単に言えば、稼いだうちどのくらいを配当に当てているかの割合(%)です。
これが100%に近いほど無理して配当を払っている事になり、0%に近いほど余裕がある事になります。
一般的には、50%以下が配当持続に理想的とされるようです。
③連続増配年数
①②は配当の基礎的条件に関する指標でしたが、実際の配当実績も重要と考えます。
それが、連続増配年数です。
例えば米国株には、以下のような連続増配実績を誇る企業があります(2024年9月現在)。
PG(プロクター・アンド・ギャンブル) 67年
KO(コカ・コーラ) 61年
JNJ(ジョンソン・エンド・ジョンソン) 61年
これらの企業は、リーマンショック等の大不況も全て乗り越え増配を続けている事になります。
これだけの伝統と実績があれば、少なくとも安易に減配に転ずるとは考えにくいです。
多少他の指標が悪くても、安心して持てる要因になり得ます。
参入障壁の把握も重要
高配当株投資において、上記の通り指標を確認することは重要です。
ただしそれだけでは、実際に指標が悪化したとき、事業の継続性に致命的な問題が生じたのか、それとも一時的な事象なのか判断がつかない場合もあります。
そこで、その企業の参入障壁について把握しておく事が考えられます。
参入障壁は、事業の継続性(=配当の源泉)に中心的な役割を担う事が多いと考えるからです。
参入障壁には、例えば以下が挙げられます。
・規模のメリット
・ブランド力
・規制、許認可(例:医薬品、金融)
・大規模なユーザー基盤(例:GAFA)
・技術力、特許
・膨大な初期投資(例:インフラ、重工業)
・サプライチェーン優位性
上記のような観点を参考に、保有株の根本的な強みを把握しておくことは重要だと思います。
そうすれば、稼ぎの根幹が揺らぐ事態なら売り、根幹以外の部分の問題に過ぎないならホールドといった判断がしやすくなります。
まとめ
以上、配当利回りの罠と対策についてでした。
まずは指標等を参考に、配当持続性のある高配当株を買っていく事が重要です。
そしてもし指標等が悪化すれば、場合によっては売りの判断も必要になるかもしれません。
とはいえ売却を避けるに越したことはないので、まずは連続増配実績の豊富な、安全性高めの銘柄から始めるのも手かもしれませんね。
ご参考になりましたら幸いです。
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