当ブログでは、より早くFIREを達成するため、保有資産額ではなく必要額に着目する戦略を提唱しています。
すなわち、FIREに必要な資産額を圧縮する(ハードルを下げる)戦略です。
今回は、上記戦略に基づき、10年以内にFIREする計画を立てる手順をまとめました。
以下、例をまじえつつ、5つのステップに分け説明します。
※FIRE初級は理解している方向けの記事です。FIRE計画の基礎は下記をご覧ください。
ステップ1:10年で貯められる資産額を計算
まずは、どこまで必要額を圧縮すべきか?のターゲットとなる資産額を計算します。
今回は一例として、日本人の平均的な例を取り上げます(単身世帯)。
日本人の平均年収は458万円だそうです(令和4年度)。手取りにすると、約360万円です。
総務省の家計調査によると、一人暮らしの平均生活費は月に約18万円だそうです。
ここで、上記生活費に対して支出の見直しを実施したとして、見直し後、月15万円とします。年間180万円です。
すると、年間の投資資金は、差し引き年180万円となります。
上記入金力をもとに、年利10%(一般的なETFのリターン相当)で10年間運用したとすると、資産額は約3300万円になります。
つまり、平均年収、通常の生活費の日本人が普通にFIREを目指すと、10年で3300万円貯められます。
今回は、この水準までFIRE必要額を圧縮することを目標に、早期FIREの計画を立てます。
もちろん、貯められる資産額は収入、支出によって変わってきます。
自分の収入、支出に当てはめ、計算しましょう。
ステップ2:必要額を計算
次に、FIRE後の生活費をもとに、FIRE必要額を計算します。
ここで、FIRE計画初級編では、4%ルールに基づいて簡易的に必要額を導く方法をお伝えしました。
しかし4%ルールは、FIRE後に資産を取り崩す前提であり、実際には実行が難しい側面があります(下記参照)。
そこで、現実的な側面から、インカムゲイン(配当金、家賃収入等)での生活を前提に、必要額を計算します。
一般的なETFは、高配当ETF(VYM等)でも、配当利回りが2~3%台です。すると、税引後利回りは2%が限界です。
次に、生活費はステップ1の値を用い、年間180万円とします。
すると、FIRE必要額は180(万円)÷(2(%)/100(%))=9000万円となります。
ステップ3以降、この必要額9000万円を下げる事を考えていきます。
誰でも投資できる観点から、ETFでの運用を前提としました。
自分のFIRE後の生活費をもとに計算しましょう。
ステップ3:サイドFIREの検討
必要額を圧縮する方法はいくつかありますが、最初にサイドFIRE(短時間働く)を検討します。
サイドFIREは必要額を大きく圧縮できる一方、FIRE後のライフスタイルへの影響が大きいからです。
FIREする目的を踏まえ、サイドFIREを採用し得るか否か?採用するとして、どこまで働くか?をまず決めましょう。
その上で、細かい部分は後で詰めていきます。
サイドFIREを採用し得るか否か?は、例えば、以下のようにFIREする目的から考えます。
今の会社を辞めたい→サイドFIREでも可
働く時間を減らしたい、仕事のストレスを減らしたい→サイドFIREでも可
労働から完全に脱却したい→サイドFIREは不可
自由な時間、家族との時間を増やしたい→サイドFIREでも可
いろんなところに住んでみたい→場合によっては、サイドFIREでも可
世界を周遊したい→原則、サイドFIREは不可
おそらく、どうしてもフルFIREが必須、というケースは少ないかと思います。
次に、サイドFIREを採用した場合の必要額への影響を考えます。
例えば、フルタイム勤務が8時間×月20日=月160時間として、月80時間、月40時間勤務のケースを考えます。
<月80時間勤務の場合>
時給1000円→月8万円の収入→必要額:4200万円
時給1500円→月12万円の収入→必要額:1800万円
月80時間はそこそこ働く感覚にはなるかと思いますが、今の仕事の負担を軽減したいという目的等なら十分かと思います。
この場合、上記の通り、必要額を劇的に圧縮できます。時給1500円もあれば、目標の3300万円を下回りますね。
<月40時間勤務の場合>
時給1000円→月4万円の収入→必要額:6600万円
時給1500円→月6万円の収入→必要額:5400万円
時給2000円→月8万円の収入→必要額:4200万円
月40時間勤務なら、週2で気分転換に働くくらいの感覚かと思います。
それでも上記の通り、一定の必要額低減の効果はあり、特に時給向上により効果が上がります。
以上を踏まえ、サイドFIREをFIRE計画に含めるか否かを決定しましょう。
個人的には、高時給、時給アップを狙うため、可能なら専門職系のパート等がお勧めです。
必要額も低くなり、また手に職があるとFIRE後の安心感が違います。
一方、サイドFIREのデメリットは勤務地に固定されがちなこと。
そこで、フルリモート職(IT系等)、どこでも働ける職(看護師等)でのサイドFIREという手もあります。
ステップ4:支出を低減できるか確認
ここまで来て、10年後の資産額と、FIREの必要額の概算は済んでいると思います。
すると、資産額と必要額のギャップが把握できるはずです。
ここで、やはりギャップが厳しいなら、改めてFIRE後の支出を低減する余地はないか確認しましょう。
FIRE初級編で一定の節約は済んでいる前提のため、さらにその一歩先を検討するのです。
例えば、
- FIRE後は家賃の安いエリアに移住してもいいかもしれません。
- お金のかからない、もっと楽しい趣味があるかもしれません。
- 平日なので、旅行等はもっとお得に遊べるかもしれません。
生活費が下がれば、以下の通り必要額も圧縮できます。
生活費:月15万円→必要額:9000万円
生活費:月12万円→必要額:7200万円
生活費:月10万円→必要額:6000万円
とはいえ、FIRE民の方は、既に生活費の見直しは行っているはず。
あまりに過酷な倹約は幸福度に悪影響になります。
もし切り詰める余地が無ければ、このステップは確認程度でも構いません。
ステップ5:運用利回りの向上
ここまで検討しても、やはり10年後の資産額と必要額にギャップがあるなら、運用利回りを上げることが必要です。
すなわち、インカムゲインがより多く得られる投資方法を検討します。
方法はいくつかありますが、例えば、高配当株投資や不動産投資。
高配当株投資は、もちろん方法によりますが、配当利回り5%程度、税引き後で利回り4%は狙えます。
不動産投資は物によって違いますが、例えば筆者の場合、利回り(CCR)が10%程度です(総投資額約1500万円に対し、年間CFが約150万円)。
これらの投資方法を用いると、理論上、必要額は以下のようになります。
インデックス投資:利回り2%→必要額:9000万円
高配当株投資:利回り4%→必要額:4500万円
不動産投資:利回り10%→必要額:1800万円
もちろん、高配当株投資や不動産投資は、インデックス投資のように「これだけやっとけば良い」という投資ではありません。
リスクを適切にコントロールできるようになるため、勉強と実践が不可欠です。
そのため、当ブログでは、高配当株投資や不動産投資の勉強・実践に資する情報をお伝えしています(以下は例)。
勉強の一助として、ご活用ください。
まとめると、高配当株投資や不動産投資には、特有のリスクがあります。
リスクをコントロールして高利回りを享受するには、勉強と実践が不可欠です。
しかし、それでもFIREに必要なら、これらの勉強と実践をFIRE計画に織り込みましょう。
まとめ
以上、10年でFIREするためのFIRE計画の手順でした。
上記のいくつかの手法を組み合わせることで、FIRE必要額を3300万円以下に圧縮する(=10年でFIREできる)事は可能ではないでしょうか?
10年でFIREも、3300万円も、あくまで一例ですが、いずれにせよ今回の5ステップはより早くFIREするための手順ではあると思います。
もっと早いFIRE達成に向け、ご活用いただけたら幸いです。
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