こんにちは、あらおです。
周知の通り、投資の利益にはインカムゲイン(配当等)とキャピタルゲイン(値上がり益)の2つがあります。
どちらが良いのか?の点については、それぞれ一長一短ありますのでひとまず置いておくとして、
個人的感覚として、人生により自由や選択肢をもたらしてくれるという点では、インカムゲイン型の方が構造的に優れていると考えます。
実際、資産形成期はキャピタルゲイン型で資産を築いた方であっても、最終的な運用段階ではインカムゲイン型に移行される方は多い印象です。
では、インカムゲイン(不労所得)はどのような性質から人生に自由度をもたらしてくれるのか?
今回はその点について掘り下げ、FIREにおける不労所得の魅力についてお伝えしていきます。
メリット①:取り崩しの恐怖からの解放

インカムゲイン型の投資とキャピタルゲイン型の投資ですが、個人的意見として、平均的なリターン(配当込み)の点では有意差は無いと感じます。
当たり前ですが、どちらにせよ、良いものは良いし、悪いものは悪いかと。
(キャピタルゲイン型の方がブレが大きく、良くも悪くも爆発力がある点に違いはありますが。)
そして、それよりもっと確実に存在する両者の違いは、心理面への影響だと考えます。
例えば、経済学者リチャード・セイラー(ノーベル経済学賞)の「メンタル・アカウンティング」理論では、以下のことが分かっています。
- 人間は、同じ額のお金であっても、その出どころによって脳内で別々のラベルを貼り、その使い方に影響を及ぼす心理傾向がある(例:給料とあぶく銭は違う)。
- リタイア後に「資産を取り崩す」という行為には、極めて強い心理的苦痛を感じる。
- 資産から得られる「不労所得」は資産そのものとは別物と認識されるため、心理的に使いやすい。
人間の心理は、机上の数字で割り切れるものではありません。
いくら完璧なシミュレーションをしても、有限の資産が、減り続ける一方の状況で心穏やかに暮らせるかというと、実際は難しいでしょう。
たくさん資産があるから問題ないという事実より、資産が減少しているという方向性に目がいってしまうのが、人間のさがだと思います。
また、仮にこの心理的苦痛に上手く対処できたとしても、ストレスがかかり続けるということ自体、FIRE後の幸福感を損なう要因となり得ます。
このような取り崩しの恐怖から解放されるという1点だけでも、インカムゲイン型の投資・FIREには十分なメリットがあるでしょう。
メリット②:狼狽売りを防ぎやすい

これは①とも関連しますが、取り崩しによる心理的問題は、株価の暴落局面でより顕著になると考えられます。
株価の暴落局面では、キャピタルゲインは一方的に削られ続け、取り崩しをおこなえば、損失を確定させ続けることになるからです。
最悪、心理的負荷に耐えられず、狼狽売りしてしまえば、リターンへの悪影響も甚大です。
実際、米ダルバー社のQAIBレポートでは、過去数十年、流行りのセクターやグロース銘柄の下落局面において、個人投資家がいかに狼狽売りに走り、パフォーマンスを下げているかという点を定量的に証明しています。
キャピタルゲインの「取り崩し」は、精神衛生上よろしくないだけでなく、リターンを押し下げる要因としても働き得るといえるでしょう。
もちろん、この点については狼狽売りをしなければ済む話なのですが、すべての人がメンタルが強いわけではありません。
暴落局面での対応が不安な人は特に、インカムゲイン型の投資・FIREにメリットがあるといえると思います。
メリット③:暴落時のインカムによるリターン向上

インカムゲインとキャピタルゲインについて、暴落・下落局面における安定感を比較すると、これはインカムゲインに軍配があがります。
株価は文字通り暴落する一方、配当は多くの場合、維持されるからです(優良銘柄は特に)。
実際、シラー教授(ノーベル経済学賞)が提供する公開データ(1871年以降の米国株の株価、配当、企業利益、物価指数の月次データ)によれば、オイルショックやリーマンショックなどの暴落局面で、株価の乱高下に比べ配当が極めて安定的に推移してきた歴史的事実を確認できます。
要因はいくつかありますが、株価と違い配当には投資家心理の影響は反映されないこと、減配は更なる株価下落を招くため、経営者に避ける動機が働きやすいこと等が挙げられます。
そして、株価の下落局面におけるインカムゲイン(不労所得)は、そのままリターン向上要因です。
配当再投資により、より安い買値で株式を集めることができるからです。
これは、キャピタルゲイン型の投資ではできないアクションです。キャピタルゲイン型だと下落局面で売却はできず(しても損失確定)、現金が得られないからです。
このインカムゲイン型のリターン面のメリットは、一般的な「トータルリターン」の数値には反映されていません。
したがって、表面上のリターンの値だけでなく、このようなインカムゲイン型の+αの効果は考慮されて然るべきと考えます。
また別の観点では、定期的な現金収入があることで、ポートフォリオの現金比率を下げやすいというメリットもあります。
現金比率を下げれば、それだけ多くのリターンを得られるため、ポートフォリオ全体としてのリターン向上に寄与します。昨今のインフレ下では特に重要な観点ですね。
メリット④:市況に影響されにくい

これは③で説明したインカムゲインの安定性の、FIREへの影響に関する点です。
キャピタルゲイン型の投資は良くも悪くも、リターンが市況に敏感に影響されます。
そのため、資産の取り崩しでFIREを試みる場合、株価の下落局面では、心理的負荷も相まって諸々の問題が発生しがちです。
一例としては、2021年頃に日本でFIREムーブメントが盛り上がった後、2022年頃に「FIRE卒業」が話題になったことがありました。
2022年といえば、1年を通じて米国株が低迷し続けた年です。
「FIRE卒業」が多く発生した要因としては、もちろん見通しの甘さが最大の要因ではありますが、背景に2022年の株価下落があったものと考えます。
この例のように、資産取り崩し型の場合、FIRE直後の株価低迷は致命的になり得ます。
FIRE生活における資産額のスタートラインが実質的に目減りするからです。
このような状況を踏まえると、インカムゲイン型の投資には、FIREの時期の影響を受けにくいという点で人生設計しやすいメリットがあります。
メリット⑤:FIREへのゴールと到達度が明確

インカムゲイン型の投資の場合、FIREへのゴールと到達度は明確です。
ゴールは明確に「インカムゲイン>生活費」であり(つまりFI)、生活費に対して現在どれだけのインカムゲインが得られているかで、FIREへの到達度も評価できるからです。
ゴールも到達度も明確なのは、FIREを目指す長い道のりを乗り切る上で、モチベーションの面で有利だと思います。
これに対し、キャピタルゲイン型の投資(=取り崩し型のFIRE)の場合、上記ほどゴールが明確ではありません。
一応、FIREの4%ルールという目安(生活費の25倍の資産)はあるのですが、根拠が非常に曖昧で、普遍的な基準とは言い難い部分があります。
そのため、どこまで貯めても一定の不安が付きまとうというデメリットがあります。
実際、経済学者ダンジガー教授の論文は(The Life-Cycle Hypothesis and the Consumption Behavior of the Elderly)、高齢者が「いくらあれば足りるか」の基準を失い、死の直前まで資産を増やし続ける傾向にあることを統計的に示しています。
純粋な経済合理性だけではFIREに踏み切れないのが、平均的な人間の心理ということです。
そのため、キャピタルゲイン型の投資の場合、FIRE後に取り崩しの恐怖と戦い続けるという問題もありますが、そもそもFIREに踏み切りづらいという問題を抱えているといえます。
これらのことから、インカムゲイン型の投資・FIREの方が、明確なゴールに向かって一直線に突き進めるという点でメリットがあると考えます。
まとめ
以上、インカムゲイン(不労所得)型の投資・FIREのメリットについてでした。
まとめると、下記の5つのメリットが挙げられます。
- 取り崩しの恐怖からの解放
- 狼狽売りを防ぎやすい
- 暴落時のインカムによるリターン向上
- 市況に影響されにくい
- FIREへのゴールと到達度が明確
もちろん、インカムゲインとキャピタルゲイン、それぞれ一長一短あるというのが前提です。
その上で、自分に何が合うのかを考える上での参考にしていただければ幸いです。
私の場合、インカムゲイン型の投資にほぼ全振りしていますが、これはFIREが最大の目的だったことが理由です。
FIREへの到達度とゴールを明確にし、その道を最短で駆け抜けたかったのです。
実際、かなり短期間でFI(経済的自立)に到達でき、良かったと思っています。
「インカムゲイン>生活費」まで来てしまえば、後は普通に生きるだけで勝手に資産も不労所得も増えていきますので、楽なものです。
ということで、自由に近づくためのインカムゲイン(不労所得)、個人的におすすめです。
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