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円安は今後も続く?【世界経済の死角①】

思った事・感想
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こんにちは、あらおです。

今回は久々に、経済本のお話となります。

河野龍太郎・唐鎌大輔『世界経済の死角』です。『日本経済の死角』も出しておられますね。

けっこう売れてるようなので読んだ方もいるかと思います。

『日本経済の死角』と比べ、より世界経済絡みの話が多くなっています。

データをベースにした一流エコノミストの対談が主な内容となっており、読みごたえがありますね。

今回は、その中でも円安絡みの内容に絞り、読後の感想を書いていきたいと思います。

金利は上げられない?

昨今の円安の主要な要因は何かと問われれば、日本の低金利にあることは周知の事実かと思います。

日本もデフレを抜け、インフレが定着してきておりますが、本来ならここで物価の番人たる日銀が利上げし、インフレをコントロールするのが筋のはず。

しかし現実はそうなっておらず、この点について日銀の本音という視点から考察されていた内容が興味深かったです。

黒田総裁以降実施された異次元の金融緩和と関連して、「インフレ率が上がれば潜在成長率にプラスの影響があるか?」の質問に対し、

植田総裁曰く「理論的根拠がはっきりあるわけではないが、ある種のダイナミズムが生まれる可能性には若干期待している。」

また、日銀の専門家の間では、異次元の金融緩和が「呪術経済学」と評されている点が本書では紹介されています。

この点を踏まえると、日銀の本音としては、異次元の金融緩和に対して当初から一定の懐疑的な空気があったのだと推察されます。

まあ当時はデフレが長期化する中で金融緩和にも一定の合理性はあったと思いますが、今はインフレです。

日銀も本音の部分では利上げの必要性を十二分に理解し、実行したいモチベーションは持っていると改めて思いました。

しかし、実際には今も緩和的政策を続けている(利上げできない)ので、利上げを実行できないジレンマがある、とまとめられそうです。

では、そのジレンマが生まれる要因は何か?

直接的には、やはりデフレ下で拡張財政が進んだことによる政府の財政悪化が本書でも指摘されています。

国の借金が膨らみすぎ、利上げすると国家財政が破綻するから利上げできない、というやつです。

そして、本書では一歩進んで、その遠因として1990年代以降の行政改革を挙げていた点が興味深かったです。

すなわち、橋本龍太郎首相以来の行政改革により、従来の官僚(官庁)主導から官邸主導へと行政組織が変容し、首相周辺への権力集中が進んだというものです。

結果として、各専門性を有する官僚が長期的ビジョンで政策を立案できなくなり、政治主導で場当たり的な政策が跋扈するようになった点が指摘されています。

その代表例が異次元の金融緩和であり、各種の財政拡張的(バラマキ)政策もこれにあたるとされています。

もちろん政治主導も良い面悪い面両面あると思いますが、政治には選挙がある以上、場当たり的政策に傾くのは必然と考えます。

財政悪化の遠因を行政改革に求めるなら、これはトレンド反転は望み薄ですかね…。

現状の政治行政システムでは、選挙目的で際限なく財政出動が続き、国家財政は改善せず、結果として金利を上げにくい環境は続く、というのがメインシナリオに思えました。

もちろん、投資家というより一国民の目線で言えば、効果的な積極財政により経済が再生し、経済成長による税収増で財政改善する、というシナリオも期待はしたいのですが…。

構造的な円安

上記は金利の話でしたが、円安は金利だけでは説明できないという部分もあるかと思います。

というのも、直近は日米金利差が縮小局面にあるにも関わらず円安が進んでいるからです。

この点について、本書ではやはり貿易収支の赤字転落について触れられていました。

2010年代以降、日本は貿易収支の赤字(円売りドル買い要因)が定着してしまっています。

これは身近なところからも理解できる話で、ここ10~20年、日本は家電製品等を外国に売れなくなってきた一方、グーグルやらネットフリックスやら外国にお金を大量に支払うようになりました。

また、原発を使えなくなり、火力発電用の燃料確保にも大量の円売りドル買いが必要です。

これら実需面の動きは投機的な動きに比べれば小さいという意見もありますが、結局投機もファンダメンタル(=実需)を見て動くので、実需を見るのは重要というのが本書の意見でした。

金利差だけでは説明できない直近の円安を目の当たりにするにつけ、私も構造的な円安という理解が必要と最近思っています。

これらを根本治療するには日本に強い産業を作ること以外に無いわけですが、それは現状かなり難題だなと。

未来は分かりませんが、少なくとも向こう10年程度は、ベースとなる状況は変わりそうにないなというのが個人の率直な印象です。

なので、昔のようなドル円レンジに戻ることはあまり期待できないという理解でいます。もちろん、あとは金利次第ということなのでしょうが…。

まとめ

以上、円安についての感想でした。

まとめると、長期的なトレンドで見ても、なかなか円安が解消される未来は見えないという印象でした。

もちろん、短期的に円高になることもあるでしょうが、大きな流れは円安方向という理解をしました。

正直、ちょっと利上げしたくらいではどうにもならない流れですよね。あとは、ドル円で言えば、ドル安に期待するしかなさそうです。

長期投資という意味では、円安の流れはポジティブだと思います。

米国株であれば為替差益が取れますし、円安は多くの日本株にとって増益要因です。

そういう意味では、個人が円安インフレから身を守るために、投資はますます大事になってくるかと思います。

なんとか格差社会を生き抜いていきたいものですね。

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日本経済の死角

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