こんにちは、あらおです。
先般、「NISA貧乏」なるワードが話題となりました。
主に若者の間で、投資でNISA枠を埋めることに熱中するあまり、日々の生活に支障をきたしている現象を指すようです。
食費を削るなど、生活に影響するほど投資に傾倒するのはやはり健康等を害しますし、批判的に語られることが多いですね。
私も現在はその立場ですが、一方であまり人のことは言えないなと思っております。
なんせ私も元祖NISA貧乏といいますか、これが話題になる5年ほど前まで激烈に節約を敢行していましたので…。
(当時の物価水準も背景にはありますが、月8万円ほどで暮らしておりました)
という訳で当時の実体験も踏まえつつ、よりマイルドになった今の姿勢から、資産形成のための節約はアリか考えてみたいと思います。
コスパのいい支出とは?

ほとんどの人間にとって、資産形成をおこなう目的は、お金を増やすことそれ自体ではないと思います。
つまり、お金を増やすことによる何らかの効用でもって、人生を豊かにするのが最終的な目的になるはずです。
とすれば、人生の目的を満足度の最大化と定義したとき、お金を満足度に効率的に変換できる、コスパの良い支出というものが存在するはず。
このコスパの良い支出を考えるとき、限界効用逓減(ていげん)の法則がヒントになります。
上記法則は、「他のすべての財の消費量が一定であるとき、ある特定の財の消費量を1単位増加させるにつれて、その追加的な消費から得られる効用(満足度)の増加分は次第に減少していく」 という経済学の経験則です。
つまり、支出が大きければ大きいほど満足度が伸びるのではなく、支出が大きくなり過ぎると満足度の伸びが鈍化していくということです。
お金を払って何らかの体験をして、1回目はすごい感動するけど、同じ金額で10回目も感動できない、という状況を想像いただければと思います。
このことから、ただお金を使うほど幸せになれる訳ではないという事実が浮かび上がります。
賢い使い方は存在するということです。例えば、限界効用逓減の法則をもとにすると以下の通りです。
- 固定費→満足度と無関係→できるだけ削る
- 物質的消費→買った直後だけ満足→機能性の限界を超える額(ブランド物等)は払わない
- 体験的消費→最も満足度が続く消費→多めに使う
- 自己投資→むしろ将来のお金・満足度を向上する→制限しない
資産形成と人生の満足度の両立という観点では、上記のように、満足度に関係の無い部分の支出を削ることには合理性があります。
個人的な経験と照らしても、見栄とか、皆買うからとか、何となくとか、そういう視点の消費はあまり意味が無いなと感じます。
一方で、何でもかんでも削ればいいというものではない、ということも言えるでしょう。
収入増につながる自己投資をケチるのは合理性がないですし、今しかできない体験にはお金を使ってよいはずです。
また、それとは違う次元の気もしますが、食費を削り過ぎて体調を崩し病院、というのは本末転倒ですね。何事も無理は禁物です。
投資初期の節約が効果的なのは事実

とはいえ、です。NISA貧乏なる現象にも一定の合理性はあると考えています。
例えば、FRBの論文『Lifecycle Patterns of Saving and Wealth Accumulation』(2019年)では、資産形成のステージで以下の違いがあることが報告されています。
資産形成の初期ステージ(~45歳)のリターン要因
- 入金力の寄与度:約 75% 〜 90%
- 運用リターンの寄与度:約 5% 〜 15%
- 家族間移転の寄与度:約 5% 〜 10%
資産形成の後期ステージ(55~64歳)のリターン要因
- 運用リターンの寄与度:約 50% 〜 70%
- 入金力の寄与度:約 20% 〜 35%
- 家族間移転の寄与度:約 10% 〜 15%
つまり、投資初期は「何を買うか?」より「どれだけ入金できるか?」の方がよっぽど重要ということです。
これは当たり前のこと言っているに過ぎません。例えば、元手が100万円なら株価が2倍になっても200万円に過ぎない一方、元手が1000万円なら2000万円だからです。
資産形成という長い道のりから見れば、初期に株価が2倍になろうが半分になろうが誤差に過ぎないということです。
なので、投資初期であればあるほど、投資を頑張るより節約や収入アップを頑張る合理性が増すということは言えます。
(もちろん、早くから投資を学んで力を磨いておくことは、その後大いに役立ちますが。)
どこまで節約すべきかはさておき、NISA貧乏にも一定の意味はあるといえますね。
ただし、資産がある程度増えれば節約の重要性が落ちるということでもあります。
そのような段階に達しても節約を続けることは徐々に不毛となっていきますので、投資のステージが進めば、「使う力」も必要になってくると思います。
資産形成では、このようなステージに応じたマネジメントも重要ですね。
資産形成における節約の最適解は?

以上の内容を踏まえると、ある程度、資産形成における節約の最適解の一例が見えてきます。
もちろん各人の趣味嗜好、考え方が異なるというのは大前提として、1つの例としては以下の通りです。
ただし、かなり資産形成を頑張りたい人、という前提条件での話になります。
ステージ①: 資産500万円未満
- 目的:投資の「種銭」を最速で作る。
- 最適点:固定費を極限まで削り、徹底して貯蓄する経験を一度してみる。
- 解説:資産が少ない時期は、投資のリターンよりも入金力の方が圧倒的に資産拡大に寄与します。一度消費に対する自分の価値観を知る意味でも、この時期に頑張る価値はあると思います。
ステージ②: 資産500万〜3000万円
- 目的:入金力を維持しつつ、「持続可能な仕組み」を作る。
- 最適点:固定費の削減を徹底しつつ、変動費(交際費や趣味)は過度に制限しない。
- 解説:無理な我慢を続ければ、ストレスによるリバウンドのおそれがあります。「自動的に貯まる仕組み」を構築し、残ったお金で罪悪感なく暮らすバランス感覚が必要です。
ステージ③: 資産3000万円以上
- 目的:複利を実感し、お金を「使うスキル」も磨く。
- 最適点:価値を感じないものには1円も払わないが、自分の時間、健康、成長に繋がるものには惜しみなく投資する。
- 解説:年間利回りが数%でもあれば、資産が生み出す富が、日々の節約額を遥かに凌駕し始めます。ここでの過度な節約は、人生の貴重な時間や機会を失う機会損失です。
金額については諸説ありますので、あくまで一例です。
ただ、実際に資産が3000万円くらいを超えてきて、あんま節約しても意味ないな、と直感で感じるようにはなったのは事実です。
しっかり投資に注力したほうが結果につながる感覚が今はあります。
また、そもそも資産形成に節約は必要ないという方針も十分考えられると思います(特に収入が高い方)。
その辺はケースバイケースですね。収入アップに限界がある場合は節約するしかありませんので。
まとめ
以上、資産形成のための節約はありか考えてみました。
ありきたりな結論ですが、状況によってはあり、ということではないでしょうか。
例えば、投資初期に期間限定でトライしてみる価値は比較的ありそうです。
ただし個人的な意見ですが、高強度の節約を10年以上続けるような状況は好ましくないと考えています。
投資はあくまで人生を豊かにするためのものであり、そのための修行が10年も続く(人生の大部分を食う)のは本末転倒に感じるからです。
この辺のさじ加減は非常に難しいですが、例えば、3年くらい集中して戦略的に取り組む分には問題ないかと思います。
若年層にとって、今やれる事は、まあ3年後でもやれますからね。支出を後回ししてもよいかと。
最初に種銭を貯めて、その後の資産形成を優位に進められるメリットがあります。
まあそれはともかく、何事もやり過ぎは禁物です。
特に、既にそれなりの資産があるのなら、節約一辺倒も考え物。
今ある資産をどう活用するか、節約よりそこに時間を割くことで、より資産を増やすというルートも考慮すべきと考えます。
いずれの方針にせよ、資産形成全体を見渡して、全体観を持って取り組めるとよいですね。
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