この世で最も心ときめく魔法の言葉は何だと思いますか?
「節税」は、その中の1つです。
実際、金融商品などでは、「節税」が最大の宣伝文句になることが数多くあります。多くの方が「節税」というワードに吸い寄せられている証拠です。
でも、少し待ってください。
例えば、前回お話したように、iDeCo(個人型確定拠出年金)には確かに節税効果がありますが、60歳まで引き出せない資金拘束性のデメリット、手数料のデメリットがあります。
iDeCoの場合は、老後までのトータルでは節税メリットを得られるからまだいいです。
世の中には、「節税だからお得そう」といって買うと結局は損な商品・サービスが多くあります。
それでは、見ていきましょう。
日本は稀にみる重税国家
(出所:財務省)
財務省によると、令和4年度の国民負担率は48.1%、令和5年度の国民負担率は46.1%です。令和6年度も45.1%になる見通しです。
国民負担率とは、国民全体の所得に税金と社会保障費の負担の割合のことです。
簡単に言えば、社会保障費が上乗せされた国民の実質的な税率です(ちなみに、2000年度は35.4%、1975年度は25.7%です)。
つまり、現代の日本国民は、収入のほぼ半分を税金で持っていかれているといえます。
五公五民です。歴史で習いました。
たしか、民が一揆(暴動)を起こす課税水準。現代人はお利口です。
これだけの重税環境ですと、「節税」という響きが甘美に聞こえるのも無理ありません。
【悲報】サラリーマンが使える節税策はほぼ無い
りそな銀行のサイトでは、「サラリーマンなどの個人ができる節税対策10選」を紹介しています。
しかし、実質的に負担が減少する「効果のある」節税か?という観点で考えると以下の通りになります(一部省略)。
・セルフメディケーション税制→節税額より医薬品購入費の方が高い
・生命保険料控除→節税額より保険料の方が高い
・地震保険料控除→節税額より保険料の方が高い
・住宅ローン控除→節税額より物件価格が下落するリスク(ケースによる)
・ふるさと納税→節税効果あり
・iDeCo・企業型DC→節税効果あり(ただし、60歳以降にしか得られない効果)
・NISA→掛け金に対する節税効果は無し
まとめると、実質的に負担が減るという意味での節税は、サラリーマンにはふるさと納税、iDeCo・企業型DCくらいしかありません。
しかも、iDeCo・企業型DCは以前ご説明した通り、60歳以降にしか受け取れないため、やはり若年期にはお金が出ていってしまう方法になります(=若年期の負担は減っていない)。
セルフメディケーション税制、生命保険料控除などは、結局節税した額以上にお金が出て行ってしまうので、負担が減る節税ではありません。
つまり、保険などは、「節税と聞いて何だかお得そう」で買ってはいけなくて、「その保険自体が節税関係なく必要かどうか」で買わなくてはいけません。
「節税」はオマケ、という意識です。
そして、残念ながら我々サラリーマンは、ふるさと納税に全力を尽くしましょう(涙)。
不動産業者の「節税」は特にご用心
せっかくなので最後に、投資用物件を扱う不動産業者が言う「節税」について注意喚起します。
まず、原則、不動産投資は節税になりません。
節税になるとすれば、それは投資として損をしているケースなので、意味のない節税です。
また、難しかったらスルーして構わないのですが、減価償却費(不動産の購入額を何年かで分割し、年ごとに計上する費用)によって一時的に節税になった場合でも、売却時に節税分と同額課税されるので、プラマイゼロで節税になりません。
よくこの減価償却費を指して、節税になる!として売りつける業者が多数います。
たしかに買って数年は節税したように感じるはずですが、売るときに大きく課税されます。
しかし、売る頃には少なくとも5年以上は経っているので業者は知らんふり、というわけです。
上記を知ったうえで不動産投資を検討するのは問題ありません。
しかし、知らずに「節税」に心おどり、変な物件を掴まされることには注意です。
この辺は少し難しいので、折をみて詳細を説明します。
まとめ
以上、サラリーマンには有効な節税策があまりない点、不動産業者の「節税」には注意すべき点をお伝えしました。
重税にうんざりする毎日ですが、残念ながら我々一般国民に有効な節税策はほとんど用意されていません。
このことを正しく認識し、「節税」という魔法の言葉に惑わされないよう生きていきたいものですね。
税金をぶん取られた挙句、さらにお金を失ってはあんまりですので。
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